「顔料」は、小さな粒子性の色素で水や油に溶けません。この顔料を液状のバインダーに分散させると絵具ができます。  
 同じ色素でも「染料」は、粒子性を持たない物質で、紙や布に定着するにはバインダーではなく化学変化により染めつけます。 
 無機顔料が地味で深みのある発色をするのに対し有機顔料は明るく彩度の高い発色をします。従来、有機顔料の耐久性は、無機顔料の強さに及びませんでしたが、近年一部の有機顔料は飛躍的に性能が向上し、無機顔料に劣らないものも登場しました。優れた材料として絵具の製造に取り入れられています。
 人類は、文化をもち始めた数万年前から天然の顔料を利用してきました。始めは、赤い土や黄色い土、褐色の土などが使われたと思われます。しだいに、色のついた石を砕いて顔料とすることになりますが、これら天然の鉱物を主原料として顔料を作っていた時代は18世紀半ばまで続きました。         
 現在、合成顔料が数多く作られ、絵画材料に使われるものだけでも1000種類をくだらないでしょう。豊富な色は、表現の可能性を限りなく増大させましたが、混色による「色を作る」という作業は、安易な中間色を使うことで重要視されていないきらいがあります。
 顔料を大別すると、土や鉱物、合成の金属化合物などから作られる「無機顔料」と主に石油化学合成から作られる「有機顔料」とに分けられます。 古代から使われてきた鉱物質の顔料を含む無機顔料は、隠蔽力と耐久性に優れ絵具の中心的材料と考えられています。天然の鉱物から作られる顔料は極めて高価で、日本画に岩絵具として使われています。洋画系の顔料でも希少金属(水銀やコバルト、カドミウムなど)を原料とするものは比較的高価です。系のものは、顔料の中でも最安価な材料です。
 有機顔料は、最先端の石油化学合成技術により作り出され、種類も量も現在作られる顔料の大半を占めています。

無機・有機顔料の比較
特 性 無機顔料 有機顔料  備 考
色 調 落着いた色 鮮明な色 描画表現には重厚な無機顔料が効果的で、デザイン的作業には有機顔料の発色が効果的である。
色 相 狭い 幅広い  
種 類 少ない 多い 無機顔料は歴史的に古くから存在し新顔料が増えることが少なく、有機顔料は20世紀に大きく進化した。
価 格 比較的安い 高い物もある 無機顔料でも希少元素を原料にしたものは非常に高価。有機顔料の中心は「中級有機顔料」と呼ばれるものであるが、近年では高価だが耐光性の強い「高級有機顔料」も頻繁に使われるようになった。
重 さ 比較的重い 軽い物が多い 比重の重い無機顔料の中には、水性絵具などで沈澱分離を起こすことがある。
着色力 着色力の強い有機顔料は体質によって調節されることが多い。
隠蔽力 無機顔料の美しい隠蔽性は、描画作業に欠くことができない。無害な有機顔料での代替が進まない理由の一つに隠蔽性の違いによる効果がある。
透明性 小  一概には左記のようには言い切れないが、それぞれに透明性の幅がある。むしろ、使用されるビヒクルの性格と量による方が透明性に影響する。
耐候性 大  劣る物がある 最新の高級有機顔料は極めて耐光性が優秀。
耐熱性 一般に大 劣る物もある 絵具の場合に耐熱性が重要な指標となることは少ない。
耐薬品性 小さい物多い 比較的大 耐アルカリ性は、フレスコ画やエマルジョン絵具での使用に問題となり、耐酸性は酢を使ったテンペラ絵具で有用となる。
耐溶剤性 一部に不足 耐溶剤性のない顔料は、油性絵具で使用するとブリードしてしまう。

 

顔料の構造分類表   主な顔料一覧  

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